2013年3月1日金曜日

神戸市シルバーカレッジ 「湊川神社物語」(『セルポート』2013.2.21号)


『セルポート』2013221日号(連載通算第435号)
「なんこうさん物語~湊川神社から見た神戸の近現代~(第2部)」第103

シルバーカレッジ学生と「神戸又新日報」

◆「神戸又新日報」  前号で、神戸市シルバーカレッジ卒業生による「明治神戸教育史」に関する「神戸又新日報」記事スクラップ集を紹介した。3人のシニア市民が、神戸市文書館の「神戸又新日報」の複写簿冊から、5年の歳月をかけて作成した労作である。

「神戸又新日報」は、兵庫・神戸の地域史研究に必要不可欠な基礎資料であり、神戸近現代史を紹介するこの連載でも「神戸又新日報」の記事を多用している。

神戸市立中央図書館には「神戸又新日報」「神戸新聞」を初め、主要新聞がマイクロフィルムで保管されており、だれでも閲覧することができる。

高齢者が、マイクロフィルムで保存されている新聞を閲覧することは容易ではない。まず目が疲れ、30分も検索すると頭がくらくらして気分が悪くなる。いつの日か、過去の新聞がネットで簡単に検索できるようになる日が来ることを願っている。文書館の「神戸又新日報」記事複写の簿冊は、紙面全体を一覧できるので、目的記事を探すことも、前後の記事の検索も容易である。

◆神戸市シルバーカレッジ  神戸市シルバーカレッジ(しあわせの村)は、平成5年に開設された3年制の生涯学習施設で、目的は「高齢者の豊富な経験・知識・技能をさらに高めその成果を社会に還元するための学習・ふれあいの場」とすることである。「求める学生像」は「地域活動、ボランティア活動に理解と熱意をもつ人」であり、学是は「再び学んで他のために」である。カレッジには、健康福祉、生活環境、国際交流・協力、総合芸術の4コースがあり、入学資格は、57歳以上の市民であれば、学歴、経歴は問わない。

◆国際交流・協力コースの卒業研究  カレッジの3年生には「グル―プ学習」が待ち受けている。学生たちはグループごとに卒業論文を仕上げなければならない。研究テーマは学生が自主的に決めて参加者を募り、100人の学生がテーマごとに約10チームに分かれて研究を進める。「国際」の研究対象は、世界の地域研究、国際事情、地球的諸課題、姉妹都市等、「国内」は、神戸市の歴史・現在・未来、教育、文化、経済、地域開発、人物研究等が多い。20133月卒業生の研究テーマは、西村旅館、6つの飲み物、はやぶさ、小笠原諸島、神戸の外国料理店探訪、シンガポール、シルクロード、ミャンマー、シアトル、韓国の英語教育、親善協力都市・大邱、マレーシアである。

シニア学生が、グループで研究を進める姿を見るのは楽しい。年末の発表会では、各チームが創意工夫を凝らしたパワーポイントを駆使して研究成果を披露する。

私は、他の2人の教員と共に、グループ学習のお手伝いをしている。研究成果のレポート集は中央図書館の「ふるさとコーナー」に展示されており、誰でも閲覧することができる。社会経験を積んだ熱心なシニア学生の研究成果であるので、ときには、大学院の修士論文として通用するような論文もある。

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