神戸今昔物語(通産第479号)湊川神社物語(第2部)
「湊川神社初代宮司・折田年秀が見た居留地時代の神戸」(22)
折田の湊川神社赴任(7)~明治7年の神戸~
思えば、故郷鹿児島で、「神社を拝礼し、金飾刀備前法光ノ短刀を奉納して、開運之祈念ヲ凝ラシ」「浮沈之決着」(『折田年秀日記』)をつける決心で、三邦丸に乗り込んだのは、5か月前の3月13日であった。折田は、東京で薩摩出身者の支援を受け、渾身の猟官運動の結果、湊川神社初代宮司のポストを勝ち取った。
◆明治7年の神戸
1月:8日 、前年11月に竣工した「元町海岸間新道」を「栄町」と命名。
17日、副島種臣、後藤象二郎、江藤新平、板垣退助等8人が「民選議員設立建白書」提出。元町1丁目大火。
2月:1日、佐賀の乱(3月1日、鎮圧、4月13日、江藤新平処刑)。
6日、閣議、台湾征討を決定(4月19日、政府、台湾征討中止を決定。5月4日、大久保利通、大隈重信が長崎で西郷従道と会見、西郷の強硬意見を受け入れ、征討実施を決定。5月17日、西郷、長崎出発、22日台湾上陸。7月28日、政府、三菱商会に、輸入船13隻による台湾への征討関連運航業務を委託)。
この月、湊川堤防が決壊し大被害。「清国人ヲ、寧波・広東・福建の三組ニ分チ、取締ニ弁ズ」(『神戸市史年表』)。
3月:マーシャル港長が立案した「兵庫港則」完成。
4月:8日、神戸・兵庫二区に区役所設置。
この月、居留地遊園の名称を「内外人民偕楽遊園」と定める。
5月:11日、神戸大阪間鉄道(32.7km)開業。工事は、明治3年10月24日の石屋川隧道から開始し、3年6か月かけて完成。ちなみに、新橋・横浜間の鉄道建設工期は、2年6か月(明治3年3月起工、明治5年9月完成)。石屋川、住吉川、芦屋川では我が国鉄道初の隧道工事。1日8往復。神戸始発午前6時55分、大阪着8時5分、所用時間1時間10分。停車場は、神戸、三ノ宮、西ノ宮(仮停車場)。6月11日、住吉、神崎(尼崎)停車場開設(『神戸駅130年史』)。
14日、鉄道開通に伴い、大阪神戸間1日2回の郵便逓送開始(『百年史 ゆうびんの道順』)
この月、神戸駅周辺道路工事補助を内務省に要請。
6月:湊川堤防、暴風雨のため再び決壊。西郷隆盛、鹿児島に私学校設立。
7月:11日、新川開墾工事着手。米国人ウオルス、製紙工場敷地借用出願。
8月:神戸海岸の石垣が怒涛のため再び決壊。坂本分営に砲兵1小隊駐屯。
9月:22日、日本国電信条例布告(電信事業の政府掌握決定)有馬道改修工事着手。
25日、『日新真事実』に、福沢諭吉『学問のすすめ』7編への批判投書、いわゆる「楠公権助論争」が起こる。諭吉は、同書で「赤穂不義士」論も提起し、物議を醸す。
10月:湊川修復工事竣工。有馬道改修工事完成。居留地遊園地開設、維持費は外国人の負担と決定。
11月:兵庫・神戸で初めて徴兵検査。
この年:相生橋架橋。熊内村銅鉱試掘の出願。就学児童2,800人を超す。外国人経営ガス会社事業開始。
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