2015年5月10日日曜日

「神戸京都間鉄道開通式(4) 式典」『セルポート』150501号


神戸京都間鉄道開通式(4) 式典

 

◆鉄道開通  明治1025日、大阪駅、神戸駅、七条駅(京都)で、神戸・京都間の鉄道開通式典が行われた。

神戸・大阪間は、明治7511日に運転を開始した。

明治97月、大阪・向日町間の工事が完成した。9月には、京都大宮通に仮駅が設けられ、京都・神戸間が開通した。

明治10129日、海路神戸に到着された天皇は、神戸駅から京都駅まで、開通したばかりの鉄道で移動された。

◆開通式典  25日、天皇は午前840分に京都御所を出て、930分に汽車で七条駅を出発し、1030分に大阪停車場に到着された。途中の駅には停車していない。

大阪駅での式典後、天皇は、午前1110分に汽車で大阪駅を出発し、1215分に神戸駅に到着された。天皇到着に合わせて、停泊中の艦船は祝砲を放ち、兵庫県権令森岡昌純と神戸在勤の官庁と停泊中野艦船の奏任官以上がホームで奉迎した。

 式典には、皇族、内閣顧問、宮内卿、大臣、参議、勅任官、奏任官、外国公使、領事、建設関係者等が列席した。居留外国人を代表して、玉座の天皇に、居留地行事局議長の米国領事ネイザン・ニューウイッター(Nasan J. Newwitter)が祝辞を述べた。行事局は外国人居留地の自治機関で、領事、居留民代表、県知事で構成していた。このとき、米国領事館は居留地35番にあった。場所は、現在の地番では西町35で、大丸百貨店の道路を隔ててすぐ南、鯉川筋沿いの区画で、三井神戸ビルに東京スター銀行神戸支店が立地している。

 続いて、兵庫県民を代表して、兵庫県権令森岡昌純が祝辞を述べた。

 午後2時、天皇は、汽車で神戸駅を出発し、京都駅に午後4時に到着し、駅内での式典に臨まれた。太政大臣三條実美が祝辞を述べた。

鉄道開通の勅語は「西京神戸間鉄道工竣ルヲ告ク朕親臨シテ開業ノ典ヲ行フ汝百官拮据経営此工事ヲ完成シ衆庶ト興ニ慶祝スル事ヲ得ル朕深ク之ヲ嘉尚ス」である。

 「東京日日新聞」(26日号)は「此日は昨夜よりの雪にて、道路も殊に悪しかりしが、遠近より此盛典を拝見せんと両三日前より、西京、大坂、兵庫ともに集り来る者は幾百万と云う数を知らず、何処も人の山を成して其賑やかなること前古に比類なしと謂うべし」と報道した。

214日付の同紙は、「京都より兵庫の辺まで、二三里の間は、処として国旗の翻へざる地も無く、軒ごとに紅灯を点し、或は種々の造り物を出し杯して、礼服高帽の欣々然と馳せ回る有様は、いかにも目出たき景色なり」と書いた。

◆折田の式典見物  折田も式典見物に行った。この頃、折田は妻の染の言動に辟易していたが、病み上がりで体力に自信がなかったので、妻を同伴させた。

「二月五日晴、 

 一、当日は本所幷ニ大阪西京鉄道開業式御執行ニ付、聖上御臨御、第十二時ヨリ相初リ候事、

病中ニ付家内共拝見ニ差出候事、

   一、本日者、兵庫・神戸大ニ賑ヒ、人民親シク奉拝龍顔候」

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